大分|別府・鉄輪温泉「冨士屋ホテル」が九州観光まちづくりAWARD特別賞を受賞 “新しい湯治文化”を世界へ発信
湯けむりの街・別府市鉄輪(かんなわ)温泉にある「冨士屋ホテル」が、JR九州が主催する「九州観光まちづくりAWARD 2025」で、革新的な地域づくりを表彰する「NEXT CREATE 特別賞」を受賞。登録有形文化財「旧冨士屋旅館」を再生し、現代のライフスタイルに寄り添う新しい湯治文化を提案している点が高く評価された。
明治期に建てられた「旧冨士屋旅館」は、別府で唯一現存する明治建築の旅館として知られる。その庭園内に2025年7月オープンした冨士屋ホテルは、伝統と革新が調和する空間として注目を集めている。CLTパネル技法を用いた新館では、木材や和紙、土壁などの自然素材を取り入れ、現代的でありながら温もりのあるデザインを実現。歴史的価値を残しながら、新しい価値を生み出す鉄輪の発信拠点として評価を受けた。
受賞の背景には、オーナーの安波治子氏が20年以上にわたって続けてきた地域との取り組みがある。曽祖父から受け継いだ建物を次世代につなぐため、2004年に「冨士屋一也百ホール&ギャラリー」を開設。温泉の蒸気を使った味噌やジャムの開発、地元住民と観光客をつなぐ「かんなわ蒸し通りずむ」の開催など、鉄輪の文化を“暮らし”として発信し続けてきた。
ホテルのコンセプトは「憧れの日常」。カフェラウンジや地獄蒸しキッチン、天然蒸気のむし湯、湯けむりピラティスなど、滞在を通して“地熱の恵み”を五感で感じられる体験がそろう。蒸す・食べる・癒すが一体となった空間で、鉄輪ならではの“新しい湯治”の形を提案している。
受賞について、選考委員からは「鉄輪の歴史と文化を受け継ぎながら、未来に続く湯治のあり方を形にしている」とのコメントも寄せられた。観光の枠を超え、地域の暮らしや自然と深く結びつく場として、これからの観光まちづくりの新たなモデルとなることが期待されている。
イベント概要
名称:冨士屋ホテル 九州観光まちづくりAWARD 2025 特別賞受賞
受賞:NEXT CREATE 特別賞(JR九州主催)
住所:大分県別府市鉄輪上1組(旧冨士屋旅館 庭園内)
開業:2025年7月12日
客数:16室(スイート含む)
公式:WEB
Event Summary for International Visitors
Fujiya Hotel in Beppu’s Kannawa Onsen has received the Special NEXT CREATE Award at the Kyushu Tourism & Community Design Awards 2025. Combining the charm of a registered cultural property with modern architecture, the hotel redefines Japan’s traditional “toji” hot spring culture. Guests can enjoy local steam cuisine, herbal baths, and creative rooms curated by Ginza’s Morioka Shoten and Oita’s Rokugatsu Yōka. A stay that blends history, wellness, and art in the heart of Beppu.















