代表候補選手が4人も在籍中!鳥栖からW杯の舞台へ、”サガントス”が育む夢。
2014FIFAワールドカップ(W杯)ブラジル大会がいよいよ6月12日に開幕。もう、目前にまで迫ってきています。
その前に気になるのは、我が国日本を代表してプレーする23名がどのような顔ぶれになるか、
です。運命の発表は5月12日月曜日の14時。テレビ各局で生中継される予定です。
気になるとはいえ、今回は過去の大会時ほど世間の注目を集めてはいない模様。それはおそらく、アルベルト・ザッケローニ監督がこれまでほぼメンバーを固定して選出してきているためで、海外で活躍する選手をはじめ、これまでに名を連ねてきた選手らが順当に選ばれるという見方が強いためでしょう。
となると、話題は当落線上にいる数名の選手に集中します。現在の日本代表でレギュラーが確定していないポジション。それは、最も相手ゴールに近い位置でプレーするフォワードの選手です。代表チームはセンターフォーワード1名(1トップ)という布陣を採用していますので、1トップ要因として選ばれるであろう2〜3名の枠を、7名ほどの候補メンバーで争われている状況です。
その候補のうちの一人が、サガン鳥栖不動のエース、豊田陽平選手です。
豊田(とよだ)選手は現在、J1リーグ戦の得点ランキング1位タイ(第11節終了時点)の7得点をマーク。1試合に約0.6ゴールというハイペースで得点を重ねています。
最も有力なレギュラー候補と目されるセレッソ大阪の柿谷曜一朗選手は、まだリーグ戦では1ゴールのみ。調子の良さでは豊田選手が大きくリードしています。
185cmの長身と、強靭な足腰を活かしたヘディングが得意な同選手は、間違いなく現在の日本でトップの実力を誇るゴールゲッター。他の候補選手には無い特長を持っているため、代表に推す声は今年の好成績も相まって、ファンのみならず解説者らからも高まっています。
ただ、不安要素はこれまでの強化試合で結果を残せていないこと。プレー機会を十分に与えられておらず、他のメンバーとの連携が不十分という、現段階においてはどうすることもできない壁が彼の前に立ちはだかっているのです。また、選手間のコンビネーションを重視する傾向が強いザッケローニ監督なので、鳥栖のエースの選出は非常に微妙なラインといえます。
28歳というサッカー人生の成熟期を迎えた豊田選手。もしワールドカップのメンバーに選ばれれば、九州のクラブから初の選出となります。
鳥栖のような小さな街のクラブでプレーする選手が、ワールドカップの舞台に立つかもしれない。サガン鳥栖の成長ぶりを表すのにこれ以上の事実はないでしょう。
4月の候補合宿では豊田選手だけでなく、ディフェンダーの安田理大選手、ゴールキーパーの林彰大選手も招集されました。したがって現在のサガン鳥栖には、日本代表候補選手が3名と韓国の代表候補選手1名(キム・ミヌ選手)が在籍しているという状態。クラブの存続すら危うかった10年前、J2の中位で足踏みしていた5年前では想像もできなかったことが今、起こっているのです。
サガン鳥栖の前身、鳥栖フューチャーズからの古参サポーターにしてみれば、それは、日本人が欧州のビッグクラブでプレーしていること以上に驚愕の事実だと思います。
サッカークラブの可能性の無限さを、サガン鳥栖は証明してくれています。
さらに、10年後にはクラブ世界一を決める大会で、欧州のビッグクラブを打ち負かしているかもしれない。そんな妄想にだって可能性を感じさせてくれる昨今の飛躍。
後ろを振り返ることなく、着実に前進し続けるこのクラブが成し遂げようとしている偉業の過程を見つめながら、スタンドで応援するのが今は楽しく仕方ありません。