INTERVIEW:すごいよ佐賀県 -「なぜ佐賀なの?」という移住の答えが「妻の実家だから」というだけでは、あまりにもつまらないですから。
佐賀県の魅力をほっこりイラスト付きで紹介さする「すごいよ佐賀県」というツイッターアカウントをご存知ですか?愛あふれるイラストと佐賀あるあるになんだか癒されちゃうんです。
なかのひとから、イラスト制作秘話を聞き出そうと思いきや、「2017年に佐賀に移住予定」という、現在は東京に住むご夫婦でした。
佐賀に住む私たちからすれば「なぜ佐賀に?」なんて、いつもの自虐的な疑問を持ってしまいますが、お話をきくにつれ、「移住者が佐賀を選ぶ理由」「好きになるための努力」「移住の覚悟」なんて言葉が見えてきたのです。
焼酎のイメージが強い九州の中では異色の #日本酒 好きの県民性。1世帯あたりの日本酒購入額は、2012年に全国首位となった。理由は、米の産地であること、濃い味の食文化であることなどが考えられる。 pic.twitter.com/VtnrwhpO3a
— すごいよ佐賀県 (@sugoiyosaga) 2016年6月8日
どのような経緯で「すごいよ佐賀県」をはじめられたのですか?
すごいよ佐賀県:ライターの夫とイラストレーターの妻、2人で運営しています。
現在は東京に住まいがあるのですが、来春(2017年)から妻の実家がある佐賀県に転居することが決まり、せっかくだから佐賀県のために何か貢献できることはないか、地元を盛り上げるための役割を何か担うことができないかと考え始めたのが、原点の動機です。
投稿のネタやイラストはどのように作られるのですか?
すごいよ佐賀県:ネタ(文章)を夫が探して、イラストを妻が描く分業制です。立ち上げ当初に決めたルールは2つだけあって、1つ目は1日1ネタを必ず更新すること。2つ目は日常の生活や仕事に支障がないよう、ほどほどに手を抜くことです。
1つ目のルールを決めた理由は、私たち夫婦は佐賀県の外から急にやってくる新参者だからです。
その土地や文化の中で頑張っている人、情報発信に努めている人がすでにたくさんいる中で、後からしゃしゃり出てきたよそ者が美味しいところだけ食い散らかして飽きてやめてしまって残骸を放置するようなみっともない真似は、したくないししてはいけないと思いました。
だから、ちゃんと佐賀県と関わっていきたい、佐賀県に住む人と丁寧なコミュニケーションを心がけたいという思いの表明として、1日1ネタの定期的な情報発信は最低限の誠意として守っていこうと決めたのです。
神埼郡吉野ヶ里町と神崎市にまたがる #吉野ヶ里遺跡 は、#卑弥呼 さまが統治した #邪馬台国 ではないかとする説がある。 pic.twitter.com/9kVoVx77F0
— すごいよ佐賀県 (@sugoiyosaga) 2016年5月16日
すごいよ佐賀県:反対に、すごいよ佐賀県という企画は私たちのすべてではない、とも定義しました。佐賀県への転居は、私たちにとってビジネス的な決断ではありません。これから小学校に上がる娘たちとどう生きていこうかと考えた時、より良い生活を実現するために、自然豊かな佐賀県の生活環境を選んだのです。
ですから、クオリティを求めるあまり夫婦でケンカしたりとか、フォロワー数を増やすことに躍起になって、生活の糧を稼ぐ本業が疎かになるような事態を招くのは本末転倒と思いました。
私たち自身の生活がすごく素敵になることが第一優先。
その上で、私たちがこんなに幸せなのは「こんな佐賀県に住んでいるから」と言える、そんな順序にしたかったのです。
一応、週に1回ほどの周期で互いの担当作業に対しての意見を交換する「反省会」も行っていますが、今のところは「ああしろこうしろ」と言い合うこともなく、どちらかというと、すごいよ佐賀県を私たち自身が楽しめているかどうかを確認する場になっています。
日本一早く #産業革命 を推進した地域と評価される。たとえば、国産初の鉄製大砲は佐賀藩の #築地反射炉(現在の佐賀市長瀬町)で製造された。黒船来航の脅威に備えるため、品川台場(現在のお台場)に配備された大砲42門は佐賀製である。 pic.twitter.com/7lwdlTyBAC
— すごいよ佐賀県 (@sugoiyosaga) 2016年6月8日
取り上げる内容に基準はありますか?
すごいよ佐賀県:もっとも意識しているのは、佐賀県に住む「動機」です。
Twitterでつぶやいている文章はすべて枕詞のようなもので、後には「だからこんな素敵な佐賀においで」というお誘いの言葉を隠しているつもりなんです。
私たちが「佐賀に住む」と口に出すようになると、驚くような反応がいくつもありました。夫の仕事の後輩は、「自分も付いて行って猪狩りを身につけます」とよくわからないことを言い出しました。妻の同郷の友人にも、「あなたが帰るなら自分も」と決断した人がいます。
ある人はいつか田舎暮らしするなら佐賀もいいなと言いますし、ある人は佐賀ではないけれど自分も妻の実家の近くへ転職すると言い出しました。このうちのいくつがサービストークで、いくつが実際に実現するのかはわかりません。
ただ、私たちの「佐賀に住む」という決断が、誰かが人生を変える、その動機になったかもしれないと思うのは、素直に嬉しいです。
佐賀県出身者の中には、佐賀に帰りたいけど帰るきっかけがない、という人も多いと思います。
佐賀県に住んでいる方の中には、早く佐賀を出たいと考えている人も多いと思います。
佐賀県に縁も関心もないけれど、転居先のどこかを探している人もいると思います。
そういった人たちが、「すごいな佐賀は」とか「やっぱり佐賀じゃなくちゃな」と感じてくれるような、佐賀県を誇りに思うような情報を配信していけたらというつもりでやってます。
#有明海 で育つ #牡蠣(カキ)は成長がとびきり早い。通常、牡蠣の養殖には種付けから出荷まで2年ほどかかるが、有明海なら半年である。これは広大な干潟を持つ有明海には餌になるプランクトンが豊富なため。 pic.twitter.com/MjQS6oiBzG
— すごいよ佐賀県 (@sugoiyosaga) 2016年6月5日
すごいよ佐賀県:私たち夫婦にも、やはり東京を離れて佐賀に転居するという決断には相当な覚悟が必要だったわけで、「なぜ佐賀なの?」というテーマに対する自問自答になっているかもしれないです。
「なぜ佐賀なの?」という質問に対する答えが、「妻の実家だから」というだけでは、あまりにもつまらないですから。
もうちょっと言うと、大きなイベントが開催される直前の告知的なツイートとか、季節的な情報もタイミングを外さずに配信していきたいのですが、そういった意味ではまだ佐賀県のリズムに乗れていないので、今後の課題ですね。
このあたりは、佐賀県民の先輩方に色々と教えてもらいながら最適化していきたいです。
#棚田百選 に選ばれた6カ所を始め美しい棚田の風景が県内随所にある。たとえば #浜野浦の棚田(東松浦郡玄海町)は田植え時期、水平線に沈む夕日が海と棚田をオレンジ色に染め抜くロマンチックな情景が人気を集め、恋人の聖地と呼ばれている。 pic.twitter.com/jgnyc6Mq23
— すごいよ佐賀県 (@sugoiyosaga) 2016年6月5日
すごいよ佐賀県:ただ、こちらは佐賀県初心者が背伸びをして運営しているアカウントですので、時々は間違ったり、失礼な何かを意図せずしてしまうこともあるかもしれません。
偏った思想を広めたいとか、そこから利益を得ようとする意図もありませんので、できればお気軽にリプライやメッセージなどからご指摘をいただきたいなと。読んでくださっているみなさんと一緒に佐賀県のすごいところを掘り起こしていきたいと考えておりますので、ぜひぜひ末永くお付き合いいただけますようお願いいたします。
▼すごいよ佐賀県
https://twitter.com/sugoiyosaga
編集後記:場所がどこであれ、移住するって人生を左右する、大きな分岐点です。
与えられるだけでなく、自分から好きになろうとする姿勢。これがあればどんな街も、美しい風景に見えてくるのではないでしょうか。
こういった想いを歓迎できる街でありたいですね。